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みなさんこんにちは、suria アンバサダーの村上華子です。二十四節気で「立秋」を迎えました。一年で最も気温が高く、夏を楽しみたい時期ではありますが、薬膳では秋の心構えを意識したいころ。そこで今月のコラムは、これからやってくる乾燥の季節に備えて、残暑の熱を上手に取り除きながら、【夏の疲れを癒し、潤う秋の体へ(全3回)】をテーマにしたセルフケアをお伝えしていきます。特に、毎年秋から晩秋にかけて、喉の痛みや空咳、鼻水や皮膚のトラブルなどを起こしやすい方は、8月中の養生が肝心になりますよ。
とはいえ、今年の気候は梅雨明けまでの道のりが長く、湿気の影響をいつも以上に多く受けることになりました。体にまとわりつくような湿気は、胃腸の働きを滞らせ、水分の代謝を悪化さます。その結果、「痰(たん)」と呼ばれる、粘り気のある不要物質を作ることに…。薬膳の視点では、痰には二種類あると考え、有形のものはいわゆる吐きだす「痰」。無形のものは目に見えない「詰まり」となり、体のあらゆる場所に溜まります。それらが原因で、体の代謝を鈍らせ、むくみやだるさ、食欲不振など様々な不調の原因を引き起こします。それらを踏まえて、今の時期に行いたいセルフケアは、消耗した潤いを補いながら、湿気が招いた痰を取り除くこと。
そこで、いよいよ旬がはじまった梨を使った、薬膳デザートをご紹介します。梨には「体(特に肺)を潤して咳を止める」、「不要な痰を取る」という働きがあり、まさに、秋にうってつけの食材なんです。ここでは、気(生命エネルギー)を補う食材、クコの実とあわせました。ポイントは過熱して温かくして食べること。消化に優しくなり、より効果的に薬効成分を体に吸収することができますよ。
簡単にできるので、ぜひお試しください!
【食材の効能】
・梨‥‥‥‥‥体を潤し、痰を取り除く。余計な熱を冷ます働きも
・クコの実‥‥気を補う。目の疲れやかすみにも良い
・砂糖‥‥‥‥肺の乾燥を潤し、津液(水分)を生じさせる
【材料】
梨 1個
クコの実 小さじ1
きび糖(砂糖)適宜
【作り方】
1、クコの実を水に浸したら、軽く絞っておく
2、梨の皮をむき、食べやすい、好きな大きさに切る
3、小皿に切った梨と、好みできび糖(砂糖)を入れる
4、蓋をして、7~10分ほど火がよく通るまで蒸す
5、火を止め、梨とスープをさっくりと混ぜ、クコの実を飾る
※梨の果汁(スープ)が出るので、なるべく深めのお皿で蒸すのがコツです。ぜひ温かいうちに、スープまで飲み干してください。
薬膳では、梨は体を潤し、痰を取る優秀な食材です。ただし、潤う性質の食材は全般的に、消化に負担をかけ、体を冷やすという側面も持っているので、消化に優しくなるように温かいデザートとして食べることをおすすめしました。とはいえ、ちょっと注意点もあり、元々むくみ体質だという方の場合は、梨や(果実や砂糖などの)甘味は、過剰な潤いになりやすいので、なるべく午前中、朝食のデザートとして召し上がっていただくのがよいでしょう。美味しい秋の味覚を効率よく摂取して、心も体も快適な秋をお迎えください。
さて、次回は「秋の安眠について」薬膳の視点からお伝えしたいと思います。
suriaアンバサダー 村上華子先生
2004年にヨガを始め、綿本彰氏にヨガを学ぶ。ヨガ仲間と共に『HAS YOGA銀座』を設立。
また、ヨガの指導のかたわら、中医学をベースにした薬膳フードデザイナーの資格を取得し、ヨガと薬膳のコミュニティー『季結び庵』を主宰。
ヨガによる心身の健康法に加えて、日本の風土、四季の移ろいに合わせた薬膳(食養生)のレクチャーも行い、自然と調和した、心地よい暮らし方の提案している。
2015年~アジア最大級のヨガイベント『ヨガフェスタ横浜』に、講師として毎年登壇。
さらに、ヨガを中心に心と体に向きあうための記事を執筆する編集・ライターとしても活動の場を広げ、様々な角度からヨガの魅力を伝えている。