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こんにちは。suriaアンバサダーの村上華子です。本格的な夏が来て、日夜を問わずムシムシとした暑い日が続きますが、みなさん元気ですか? 今から夏の疲れが蓄積されていくと、暑さのピークを迎える、お盆を過ぎたあたりから体調不調を訴える人が多くなっていきます。前回のコラムでは、夏バテを回避するための水分補給や食事に関するセルフケアをお伝えしましたが、今回は夏のケアの締めくくりとして、自律神経に働きかけ、心身を落ち着ける「片鼻呼吸法」を紹介します。
夏バテのきっかけのひとつは
寒暖差が招く自律神経の乱れもあり
夏はエアコンの効いた室内と、高温多湿な野外を出たり入ったり、何度も繰り返しますよね。汗をかいた後に、エアコンの空気に触れるとヒヤッとして気持ちがいいのですが、人間の生体機能は、5℃以上の急な温度差を感じると強いストレスを受けます。この状態が長く続くと自律神経の働きが鈍化し、体温調節をうまくコントロールできなくなるということも。そうなると、体の熱をうまく下げられなかったり、水分代謝を滞らせて、内臓の不調から食欲不振、体が重くダルいという夏バテへの一歩を踏み出すことにも…。
片鼻呼吸法は、エネルギーの流れや自律神経のバランスを整え、心と体に落ちつきをもたらします。食べ物の消化や排泄を促すのは、自律神経の役割のひとつですが、薬膳では、消化の力と排泄の力を高めることが、夏を快適に過ごすためのポイントになります。ここでは、呼吸法の効果を上げるためのプレワークとして、二つのマッサージを紹介しますので、ぜひ呼吸法とセットで行ってみてください。
■呼吸を深めるためのプレワーク
・側頭部のマッサージ
側頭筋はものを食べる時に動く筋肉なので、咀嚼筋と呼ばれることも。心の緊張をやわらげ、食いしばりにも効果的◎。手のひらのつけ根部分で、こめかみから耳の上にある側頭筋をくるくると回しながら、広範囲をまんべんなくほぐします。
・後頭部のマッサージ
副交感神経(リラックス)を優位にするためのツボは、第一頸椎の付近、頭蓋骨と首をつなぐ「後頭下筋群」に多く点在します。ストレス過多、猫背、眼精疲労がある人はコリやすい場所。左右の親指を使って、髪の生え際付近をほぐします。
■心を落ち着かせる片鼻呼吸法
【呼吸法の手順】
1.あぐらの姿勢で、背筋を伸ばして座ります。
2.右手の人差し指と中指を折り曲げ、左手はヒザの上に置きます。
3.目を閉じたまま、両鼻から息を吐き切ったら、親指で右の鼻を押さえ、左の鼻から息を吸います。
4.薬指で左の鼻を押さえながら、右の鼻で息を吐き、そのまま右の鼻から息を吸います。
5.親指で右の鼻を押さえながら、左の鼻で息を吐きます。
6.気持ちが落ち着くまで、3~5を繰り返します。
7.目を閉じたまま、右手をヒザに置く。そのまま自然な呼吸で余韻を感じましょう。
【呼吸法のポイント】
姿勢を安定させるために、両座骨を均等に床につけて座り、下腹(丹田の辺り)を軽く引き締めながら、腰を床から垂直に立てます。土台となる下半身が安定することで、上半身の余分な力みが抜け、心地よい呼吸が行えます。また、吸う息、吐く息の感触を丁寧に見つめながら、苦しくならない、心地よいペースで行いましょう。(※呼吸法は横隔膜を大きく動かし、内臓に刺激を与えるので、食後は避けて行ってください)
薬膳の本場、中国では「心静自然涼(しんせんしぜんりょう)」という言葉があります。これは「ゆったりとした気持ちでいれば、涼しくいられる(夏の暑さにイライラすると余計に暑くなるだけ)」という教え。お仕事や家事育の合間でも、いつでもどこでもすぐに実践できるマッサージや呼吸法の習慣を身につけて、心と体を穏やかに、夏を乗り越えましょう!次回はいよいよ、秋を意識したセルフケアについてシリーズで紹介していきます。
suriaアンバサダー 村上華子先生
2004年にヨガを始め、綿本彰氏にヨガを学ぶ。ヨガ仲間と共に『HAS YOGA銀座』を設立。
また、ヨガの指導のかたわら、中医学をベースにした薬膳フードデザイナーの資格を取得し、ヨガと薬膳のコミュニティー『季結び庵』を主宰。
ヨガによる心身の健康法に加えて、日本の風土、四季の移ろいに合わせた薬膳(食養生)のレクチャーも行い、自然と調和した、心地よい暮らし方の提案している。
2015年~アジア最大級のヨガイベント『ヨガフェスタ横浜』に、講師として毎年登壇。
さらに、ヨガを中心に心と体に向きあうための記事を執筆する編集・ライターとしても活動の場を広げ、様々な角度からヨガの魅力を伝えている。