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スリアインタビュー『ヨガと私』vol.3~後編~ by石山多津子

2021.05.28
  • コラム

スリアインタビュー 『ヨガと私』
ヨガとのかかわり方にフォーカスしたインタビューの配信をスタートしました。
スリアが選んだ、『ヨガと私』ぜひご覧ください。

~ヨガは人生というでこぼこ道を平坦にしてくれるもの~

Vol.3 <後編> 石山多津子先生

 

「日常に海がある」という、生活を上手に楽しむ人が多く住まう茅ケ崎で、海ヨガにはじまり、静的・動的、様々なアプローチでヨガの指導をしている石山多津子先生。実は、2008年に『日本ヨーガ瞑想協会/綿本ヨーガスタジオ(主宰:綿本彰氏)』の指導者養成講座の同期として、ヨガマットを並べて共にヨガを学んだ仲間の一人です。トレードマークになっている日焼けした肌とチャーミングな笑顔は、はじめて見たときから印象的でした。

 

――(以前のお話しは「インタビュー前編」をご覧ください。

 

村上華子:私たちは綿スタで、ラージャヨガとパワーヨガを学んできました。いわゆる静と動のヨガ。これらを軸にしながらそれぞれの場所で、新たなエッセンスを学び、取り入れてきましたよね。それら一つひとつの経験が今に繋がっているというか。多津子さんは、体を動かすヨガの練習にはじまって、哲学的・瞑想的なヨガへ。長い時間をヨガと共に歩んできましたが、人生にヨガ・瞑想が必要な理由は?

 

多津子さん:日常生活の道のりは平坦ではなくて、思いがけない事も起きますよね。そして、起きたことに対して、私たちは当然、否定したり、批判的になったり、身構えてしまう。だからこそ、あえて「判断しないでいる」という選択が、よい待ち時間を生むのかな。そうすると次第に、色々な角度から状況が見えはじめてくるというか。

 

華子:なるほど、機が熟すのを待つと。

 

多津子さん:そうすると、思いがけない出来事にも受け取り方がいくつか生まれてくるのよね。その(判断しないでいる)時間が、瞑想的なのかなって。だから“待ち上手”、“受け取り上手”になれると、次に「何からはじめようかな~」という考えが降りてくる。

 

華子:たしかに。思いがけない展開で身構えたり、焦るような切羽詰まった状態では、なかなかいい解決法は浮かばないかも。だから瞑想的な時間で、ひと呼吸いれるのですね。

 

多津子さん:そう!瞑想することは自分の中心に引き戻してくれるお守りで、「いつでも大丈夫よ!」と守ってくれる、ブレない軸のようなものかな。(とはいえ、私も実際はブレまくりですが・・・笑)でも本当に、瞑想が習慣になるとブレている時間が短縮されてきて、自分の軸に早く戻れるっていう感覚。あまり長く悩んだり迷ったりしなくなっていることを感じます。

 

華子:瞑想の体験を日常生活にすり込んでいくような。

 

多津子さん:そうそう。ヨガは「哲学的な事を、体を使って練習をするもの」と、私たちは教わってきてるよね。私がクラスで伝えたいことは、例えばポーズを取っている時、ここが限界だと思う瞬間がある。でもその状況の中で、どうしたら体が、今よりもっとよい状態になるのかを探ってみる。呼吸に意識をむけるとか。それとも強く足を踏ん張るとか。こうやって体を使いながら、常に最適なところを探す練習をマットの上でしている私たち。いつも置かれた場所での最善がみつけられる。それが自然と日常生活にも生かされてくるから、ヨガって素晴らしいって思う!

▲多津子さんの代名詞といえば、地元・茅ケ崎のビーチ。さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びながら行う「海ヨガ」は、人気イベントのひとつ。その他にも「インサイドフロー」や、「チャンティング&メディテーション」、「新月のヨガ」などのスタジオレッスンも行っている。実は、これらバラエティー豊かなヨガのスタイルは、綿本ヨーガスタジオの核である、“瞑想”というエッセンスで繋がっている。

 

華子:まさに「日常に活かすヨガ(綿スタのキャッチコピー)」! ところで、多津子さんってお孫さんいるじゃないですか。おばあちゃんなんて、絶対に呼べないほどチャーミングなのですが。

 

多津子さん:そう、おばあちゃんなんです。自分の林住期に、家族に新たな生命を授かって“生きることのスタート”から見守ることができるなんて素敵よ。人生を見直すというか、確認するというか、とても意味深く感じているのよ。孫が誕生した瞬間に「受け容れる」っていう言葉が届けられて。赤ちゃんは、赤くてくしゃくしゃで、髪もない、目も見えない。命はここからがはじまり。やがて髪が生え、お喋りをして、立って歩いて・・・成長の一つひとつが愛おしい。私は今、白髪もシワも増えていく。動きも遅くなっていくけれど、これも同じように「成長」なんだなって。実は、老いるということは、生まれてきた状態に還ることなのかもねって。体も心も日々成長して、起こることすべてが命という愛おしさに繋がっていくことを、孫は伝えてくれてる。それが「受け容れる」という言葉だったの。ヨガ的でしょ~。もうすぐ6歳になるのだけど、ヨガの先生である私の、「ヨガの先生」として誕生してくれたみたいね!

 

華子:そういう捉え方、すごく新鮮です。私も孫ができたらそんな風に思えるのかな~。多津子さん、素敵なお話しをありがとうございました!

◇石山多津子

Mala Tazuko Yoga 主宰。日本ヨーガ瞑想協会(綿本ヨーガスタジオ)本部講師。1980年代から古典的なハタヨガの道を学び始め、2007年に綿本彰氏に師事。瞑想をベースとするRaja Yoga・Power Yogaを習得。ヨガの目指す『瞑想』を哲学、精神、日常と様々な視点から理解し実践を深めることは、日々の幸せに繋がっていくことを実感。「日常にヨガの叡智が生かされる」ことを軸とし、ヨガからの恩恵や経験をメッセージとして伝える指導をする。

https://www.facebook.com/tazuko.ishiyama

https://www.instagram.com/tazukoishiyama/

◇村上華子

2004年にヨガを始め、綿本彰氏にヨガを学ぶ。ヨガ仲間と共に『HAS YOGA銀座』を設立。
また、ヨガの指導のかたわら、中医学をベースにした薬膳フードデザイナーの資格を取得し、ヨガと薬膳のコミュニティー『季結び庵』を主宰。
ヨガによる心身の健康法に加えて、日本の風土、四季の移ろいに合わせた薬膳(食養生)のレクチャーも行い、自然と調和した、心地よい暮らし方の提案している。

2015年~アジア最大級のヨガイベント『ヨガフェスタ横浜』に、講師として毎年登壇。
さらに、ヨガを中心に心と体に向きあうための記事を執筆する編集・ライターとしても活動の場を広げ、様々な角度からヨガの魅力を伝えている。

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